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カテゴリ:いろいろ( 74 )


2012年 01月 22日

くいしんぼうの血

最後の晩餐は毛蟹だった。

タオルは10枚500円でも、食べ物にはお金を惜しまない。
今年のお正月の数の子は
干したものじゃないと歯応えが頼りないと言い張り、
母をあちこち探しに行かせた。
メロンもスーパーのはだめ。いつも5000円以上の高級品。

カルピスの次はサイダー。
真冬でも80過ぎてもボトルのまま一気飲み。
はまってしまうと、数ヵ月はそればかり。
2時間契約のヘルパーさんに毎回30分かけて焼き鳥を買いに行かせたり。
一時ずらりと並んでいたリンゴジャムの瓶が次の時にはなかったり。

まだまだわたしは食い意地では敵わない。
食べてみたくても財布が気になるし、
嫌になるほどひとつのものを食べたりするような余裕はない。

だけど。
わたしは素直にまたみんなでご飯を食べたいねと言える。
一番おいしいものを知っている。
もういちどあの料理屋さんで、ううん、家の座敷でいいから、
みんなでご飯を食べたかったね。
ふぐや蟹がなくてもいい。スーパーのお惣菜でも構わない。

最後に何度も、また料亭でパーッとやろう。
と言っていたワンマンな祖父は、
本当は一番おいしいものを知っていた。
どんなにお金を出しても決して手に入らない、おいしいもの。

わたしはたくさん、大切な人と、大好きな人と、
世界一おいしいものを食べるよ。
もう一緒に食べられなく、なる前に。
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by mido-remix | 2012-01-22 23:31 | いろいろ | Comments(3)
2011年 10月 31日

私が楽しければ、みんなが楽しい

最近仕事が落ち着いてきて、
自分の中でいろんなことがテンポよくやれているからか、
このところ特に、お店で働くことが楽しい。

この2年間、本を始め、いろんなことをやらせていただいて、
店を制限して外でもっと勉強しなければ、と思ったことも正直あったけれど、
料理をただ作ることよりも、作った料理をお客さまに食べていただくことが
私の一番やりたいことだと気づいたら、今自分がやるべきことが見えてきた。

いろんな思い込みや、ずっとやって来たやり方をいい意味でぶち壊したくなった。
ここしばらくの疲れから、やっと回復したのかもしれない。
お客さまと接すること、スタッフとの声の掛け合い、なにより料理。
ひとつひとつ今、これがベストなのか考えてみる。

たとえば。
お客さまに注文をうかがうタイミングを変えてみたり、
昼間は無理だと思い込んでいた調理方法を試してみたり、
普段からやってきたつもりだったけれど、
もっともっとやれることがたくさんあるのだ。

本にも載せた鶏肉巻きの皮が、焼いてしばらくたつと固くなってしまうので、
ラップをしたり、タレを塗ったり、試行錯誤していたのだけど、
皮を中に巻き込んでみたら皮を残すお客さまが激減した。
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本を買ってくださった方、一度試してみてください。
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by mido-remix | 2011-10-31 20:19 | いろいろ | Comments(4)
2011年 07月 30日

パンとリンゴジャム

祖父は食べるのが好きで、いわゆるちょっとしたグルメだったらしい。
田舎から出てきて一人で鉄工所を起こし、一時は従業員もかなりいたみたいだ。
母の子供の頃の思い出の中には、お手伝いさんが出てくるし、
定食屋に連れていってもらった記憶はないが、
芸者さんのいる料亭には何度か連れられて行ったという。

私が物心ついた頃には「祖父の家=ご馳走」という図式が頭の中に出来上がっていた。
お寿司はいつも特上で車海老は美しい虹色の尻尾をしていた。
初めてフグを食べたのもウニを食べたのも祖父の家だ。
魚の味はここで覚えたのかもしれない。
洋食屋さんが持ってくるコールドビーフ!白くて滑らかなポタージュ。
あの当時はあんなに洒落た味、他で食べた覚えがない。

去年の誕生日にはデパートの三段重を
「美味しくない。今度はパーっと料亭に行こう」と言ってた祖父も、
今年の米寿の祝いには2、3口のケーキしか食べられなかった。
ヘルパーさんの料理は口に合わない。とちっとも口にしようとしない。

でもこないだ夕方遊びに行ったら、
今から夕食だと、スーパーの丸パンをトースターで焦げ目がつくまで焼いて、
アオハタのリンゴジャムをつけて食べていた。
静かな台所に祖父の入れ歯のコチコチ言う音が響き、
ジャムをたっぷり塗ったパンが、小さく小さくなった体の中に消えていく。

お前も何か食べろとしきりにバナナをすすめる。
牛乳を飲み干して、軍歌を大声で歌いながら、
緑も従業員と労働組合には気を付けろとギロリとした目を向けて言った。

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by mido-remix | 2011-07-30 19:50 | いろいろ | Comments(3)
2011年 05月 26日

山椒のかおり

月に1、2度、バスで20分ほどの距離に住んでいる祖父母の家に遊びにいく。

もう高齢で体も不自由だけど、まだ二人で暮らしているので、
時間ができるとふらりと顔を見せに行く。

子供の頃は威厳たっぷりだった祖父も、私より随分小さくなり、
社交的で買い物好きだった祖母も、家の中で片足を引きずって家事をする。

妹からお裾分けしてもらった山椒の実がたくさん届いたので、
あとでのんびり下処理しようと持っていた袋を祖母が見つけて、
手伝ってくれるという。

コーヒーとお菓子を食べたあと、布団に潜り込んだ祖父の軽いいびきを聞きながら、
祖母と二人で枝から実を外す。

世間話や、祖父の愚痴、親戚のうわさ話をしながら笑っていた祖母が、
ぽつりと、
「あんな、極楽も地獄も、みんなこの世にあるんやで。最近そう思うんや。」
と言った。
「そうか。死んでからのことは誰にも分からんもんな。」
私が言うと、こっちを見てケラケラ笑った。

指についた山椒の香りがいい匂いだと言って、また笑った。

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by mido-remix | 2011-05-26 20:48 | いろいろ | Comments(2)
2011年 04月 17日

ちいさな、おおきな、ごちそうさま

あんまりにも気持ちいい天気なので、
ソファーをベランダに引っ張りだして昼寝していたら、くしゃみして目が覚めた。
やっぱり日が落ちてくると少しひんやりする。

気温の振れ幅と同じように、最近はお店のお客さまも
たくさん来てくださる日とそうでない日の幅が大きく、
毎日仕込みや、朝の準備に頭を悩ませる。

どうしようか迷っているうちにバタバタしていたら、
遠方から、本当に素敵なご家族がおみやげを持って訪ねて来てくださった。
準備も整わず、焦る中、
「おいしいねえ。」「おやつ楽しみだねえ。」
と聞こえてくるおかっぱの小さな女の子の声が、
嬉しかった。

帰る時は大きな声で、
「ごちそうさまでしたー」とあいさつしてくれた彼女。

こうやってわざわざ来てくださった方に、万全の準備もできず、
余裕のない私たちに
こちらこそ、ありがとう。
ほんとうにありがとうね。

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by mido-remix | 2011-04-17 23:25 | いろいろ | Comments(0)
2011年 04月 08日

今できることは、隣の誰かを喜ばせることなのです。

音楽と料理は似ていると言っていたのは誰だったか。
いや、誰かをもてなすことって、全て同じ。

オーケストラのチャリティコンサートに行って来た。
追悼の弦楽曲から始まり、未来に向けた交響曲で終わるプログラム。
主催者の思いが詰まった2時間半だった。

始まりの挨拶と黙祷。
千人もの人が集まって、ひとつの物音も立たない1分間を初めて体験した。
プログラムの合間の「日本」を意識したサプライズ。
若い和楽器奏者の演奏や、誰もが知っている童謡の合唱。
そして何より、アンコールが終わったあとも、何度も何度も観客に手を振る指揮者。
それが全てわざとらしくなくて。とても心に響いた。

全ての人が、本当に音楽を美しいと思う心を掘り起こせたら、
世界中は平和になるのに。とさえ思った。

聴いてくれる相手を喜ばせること。
状況を見て伝え方を工夫すること。

その時間の中で、目一杯、
相手を思うこと。

神様から8周年の贈り物だ。
もう一度はじめから。
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by mido-remix | 2011-04-08 00:47 | いろいろ | Comments(2)
2011年 04月 05日

春のちから

ちょっと体調を崩していました。
でも気温の上昇とともに回復してきました。
春はいいなあ。自然の力をじんわり体全体にもらえる季節。
漢方の先生によると、私はパワーはなくはないけど回復が遅いタイプのようです。
人の食事を作っているくせに、
まだまだ自分の体を把握出来ていないことに反省しきり。

今日発売のリシェで、夕飯のリメイクお弁当というテーマで、
お料理ページをさせていただいています。
新しい本ではお店のお弁当。
こちらはうちのお弁当。って感じです。
特集は私の大好きな父の故郷、淡路島。
もう少し暖かくなったら、この本片手に遊びにいきたい。
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by mido-remix | 2011-04-05 23:01 | いろいろ | Comments(2)
2011年 03月 21日

返事

新しい本が18日に発売されましたが、
震災の影響で書店に並ぶのが遅れているみたいです。

お店ではもう売っているのですが、
大阪の書店でも1、2日遅れていたみたいなので、
他の地域ではまちまちのようです。

でも早速発売日に店で買ってくださったお客さまが、
次の日、「作りましたよ!」と手みやげに持って来てくださいました。
ほんとに嬉しかった。
前日、いつになく、地震の報道で気が滅入ると沈んでらしたので、
こうやって、誰かの気持ちを少しでも明るくすることが
私にできているなら、それは、
何より嬉しいことだ。

本のレシピどおりでなく、
ハーブを入れたり、少しアレンジを加えたIさんの料理は、
その人そのままの、オシャレで、でも優しい味がした。

ありがとうございます。

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by mido-remix | 2011-03-21 17:56 | いろいろ | Comments(10)
2011年 03月 14日

ちから

本当に心配だった仙台の友人からメールが届いた。
無事ですというメールから一夜明け、電気と水が復旧したという。

明かりがつくこと。温かいお茶が飲めること。
テレビで情報が入ることの、ありがたさが身にしみること。
まだまだ大変な人たちへの気持ち。
いろいろ書いてあった。

何もない状況の中、
支援団体に出してもらった塩むすびが本当においしかったこと。

食材をかき集めてあり合わせで食事を提供するお店がいくつもあって、
そんなお店にすごい行列ができていて、
食べることは人の力になるものだと実感したこと。

そして、そんなすごい仕事をしているんだよ。
頑張れ。という励ましの言葉を読んで、
なんだかジーンと来てしまった。

こんな風に言える、彼女の優しさとか、
まだまだ大変な状況の中、人が生きようとする強い力とか。

ありがとうね。
お互い頑張ろうね。
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by mido-remix | 2011-03-14 21:08 | いろいろ | Comments(3)
2011年 01月 05日

またここから始まる

あけましておめでとうございます。
みなさんよいお正月だったのでしょうか。

何か月か前に、ぽろっと
「もう長いことゆっくり休んでないので休み方が分からなくなってる。」
と言ったら、スタッフのTさんに、
「休みの日は昼まで寝て、ゆっくりお風呂入って、明るいうちからビール飲むんですよ。
ちょっとくらいは、どこかに行ってもいいけど、基本そうやって過ごすんですよ!」
と、強い口調で心配されましたが、
このお正月は、ずっとそういう生活をしてました。
もちろん、結局毎日キッチンに立っていたんですけど。

とにかく休みなさい。とか、のんびりマイペースに。とか、
疲れた顔をしていると周りは心配して言ってくれるのですが、
休んでいても、やらなければいけないことが気になったり、
寝てたら一日がもったいないと思ったり、
行きたいところを我慢するなんて結局ストレスになって、
うまくのんびりできない自分に本当にうんざり。

でも結局はバタバタすることも、ちょっと無理してしまうのも、
それが私のペースだから仕方ない。と年末くらいには思えるようになりました。
そして今そういう時期なんだから、それはありがたいことだ。
逆にそう思うと、なんだか不思議と、この休みはゆっくり過ごせたのでした。

今年も頑張れるだけ頑張ります。

料理をすることが本当に楽しくなってきました。
明日はいっぱい仕込みします。

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by mido-remix | 2011-01-05 15:41 | いろいろ | Comments(2)