年末に渋柿をたくさんもらったので、干し柿を作ってみた。
渋柿を手にするには初めてだったので、どんなものか興味があってもらってきた。
包丁で皮を剥くと、端から端から果汁が黒く変色し、なんだか手がヤニっぽい気がする。
ひとつ剥く度に手と包丁と柿を洗いながら、渋ってすごいなと思い、
とても柿を口に入れてみる気持ちにならなかった。
好みの固さまで干し上げて、後は冷凍庫に保存しておけばいいと聞いたので、
まだ柔らかなプルーンくらいの固さになったものをひとくち齧ってみた。
日なたっぽい甘さがして、美味しくできてる!と思った次の瞬間、口いっぱいに渋がやってきた。
こんなものをどうして食べようと思ったのか、昔の人の知恵はすごいなと思っていたある日、
いなかの家に行く途中、実だけが鈴なりになった柿の木を幾つも見かけた。
渋くて食べられないのか、食べきれなくてそのままにしているのかわからないけれど、
鳥につつかれていないところを見ると、渋柿なのかなと思った。
こうやって放っておかれたものをなんの気なく食べてみた人が、
あ、干すとこんなに甘くなるのか!と気づいたのだろうか。
ワインやパンや、ましてや納豆なんか、こういう興味本位と創意工夫で今の洗練された食べ物ができている。
まだこれから先、もっともっと洗練されていくんだろうか。
まだ発見されてないものもあるんだろうか。