薬膳の学校で知り合ったMさんが発酵について詳しい人で、
同じクラスの数人で発酵食品作りを教わってきた。
料理に興味を持つきっかけがパン作りだった私は、発酵ものにはとても興味があったのだけど、
育てる期間が短いパン酵母と違って、半年かけて熟成させる味噌や、毎日かき混ぜるぬか床は、
そのうちにカビさせたり、嫌な臭いを発生させたりして、なかなかうまく行かなかった。
Mさんはテキパキと私たちに指示を出して味噌や甘酒や醤や、7品の仕込みを完成させていき、
あっという間にスーツケースいっぱいの保存容器ができた。
なんだ簡単だなと思っていると、Mさんが、
確かに仕込み自体は簡単ですぐにできるし、あとは置いておけばいいと言うけど、あまり放ったらかしもかわいそう。
寒いときは暖かいところに出してあげたり、時々どんな様子か見てあげて。と言った。
丁寧に仕込むことももちろん大事だけど、時間と酵母だけに任せず、気にかけてあげないと、なんて、
そうだな、生き物を育てているのだものな、と納得した。
と、言いつつ、せっかく仕込んだ甘酒を発酵途中に冷たくしてしまい、慌てて容器をお風呂に入れてあげながら、
子育てって難しいって思ったのでした。