母も料理の仕方をよく知らなかったのだろう。
とにかくその時初めて食べたのだから。
子どもが産まれて自宅に帰ったその日、
手伝いに来てくれていた母が
夕飯にずいきを炊いてくれた。
ずいきは古血を下ろすんだよ。って。
体力低下と暑さで、もうすでに夏バテ気味のわたしの喉に
つるっと入ってきたその感触だけ覚えている。
それからずいぶん経って、
八百屋さんで見かけるずいきを懐かしくなり料理してみた。
茹でて、水にさらしながら皮を剥き、
絞って炊いたり、酢の物にしたりする。
特に酢を入れると、皮を剥いたなすのようなずいきが
きれいなピンク色に変化して嬉しくなる。
毎年初夏になると、ずいきの皮を剥きながら思う。
子どもに対して、こうしたいとかあまり考えるほうじゃないけど
彼女が将来子どもを産む事があって
それが初夏だったら
ずいきを料理して食べさせてあげたいなって。