roca+α

rocaroca.exblog.jp
ブログトップ
2011年 05月 26日

山椒のかおり

月に1、2度、バスで20分ほどの距離に住んでいる祖父母の家に遊びにいく。

もう高齢で体も不自由だけど、まだ二人で暮らしているので、
時間ができるとふらりと顔を見せに行く。

子供の頃は威厳たっぷりだった祖父も、私より随分小さくなり、
社交的で買い物好きだった祖母も、家の中で片足を引きずって家事をする。

妹からお裾分けしてもらった山椒の実がたくさん届いたので、
あとでのんびり下処理しようと持っていた袋を祖母が見つけて、
手伝ってくれるという。

コーヒーとお菓子を食べたあと、布団に潜り込んだ祖父の軽いいびきを聞きながら、
祖母と二人で枝から実を外す。

世間話や、祖父の愚痴、親戚のうわさ話をしながら笑っていた祖母が、
ぽつりと、
「あんな、極楽も地獄も、みんなこの世にあるんやで。最近そう思うんや。」
と言った。
「そうか。死んでからのことは誰にも分からんもんな。」
私が言うと、こっちを見てケラケラ笑った。

指についた山椒の香りがいい匂いだと言って、また笑った。

e0056428_204746100.jpg

[PR]

by mido-remix | 2011-05-26 20:48 | いろいろ | Comments(2)
Commented by baku at 2011-05-29 09:25 x
ええ時間過ごしてきはったね。
ここまで、おじいちゃんのいびき、おばあちゃんとみどちゃんの笑い声が山椒の香りといっしょに届くようです。(これ書きながらすでに 口の中が「さんしょ」状態で・・・笑)

「あんな、極楽も地獄も、みんなこの世にあるんやで。最近そう思うんや。」
ほんまやね、としみじみ。
Commented by mido-remix at 2011-05-31 00:07
何かの瞬間に、「あ、今この時間は一生忘れないだろうな。」と思う時が時々あるんですけど、この時もやっぱりそうでした。
そしてそういう時は、なにかしら印象に残る匂いとか、味とか、感覚があって、それが、そのとき一緒にあったものとか人とかの記憶になるんですよね。
極楽も地獄も、小粒でぴりりと辛い。


<< 本能に逆らう      おひさまの力 >>