子供たちがもっと小さい頃、お金がなかったので、
いわしの蒲焼きのことを、うなぎ。と教えていた。
保育園からの帰り道、夕飯を聞かれ、今日はうなぎ丼だよ。というと、
「やったー。うなぎ大好き。」と外で大きな声で言う子供たちに
いつも少し罪悪感を覚えたが。
今日は店で使った残りのさんまを蒲焼き風にした。
三枚におろして、醤油、酒、生姜汁を揉み込み、
小麦粉をはたいて、両面を油で焼く。
そこへ醤油、酒、みりんを回しかけ、煮からめて照りを出す。
器に盛り、せん切りにして水にさらした生姜をたっぷりとかける。
「おいしい。おいしい。」とほおばる、かわいい笑顔が思い出されて、
情けない息子への、怒りの気持ちも収まってきた。
…今日はさんまで命拾いしたな。